父親がいなくなって最初に想ったことは、
「一緒にいた時間が、ありがたい。」
一緒に住んでいたわけではなかった。けれど、比較的近くに住んでいたからある程度の世話ができた。
一緒に病院へ行き、会話もできた。
あまり自分から話す人ではなかったから、わたしから聞きたいことを聞いていた。できればもっと、話をしたかった。
ほぼわたし一人で父親のことをやっていたから、親戚やまわりの人たちに「大変だね」と言われた。でも、大変だと思ったことがない。むしろ、「させてもらえて感謝」。そう、実際に思ったことは「ありがたい」。
確かに一番最初の頃は嫌な部分もあって、なぜわたし一人でやらなければいけないんだろう。と思っていた。父親のことだけでなく実家のことすべてだったから。
負担は大きい。
ただ、父親の入院でどんどんわたしの心境に変化が起こりはじめる。
マイナスに考えがちな気持ちをプラスへ変換。
自分のことでいっぱいになっている。
まわりを見ると突然親を亡くした人。すぐに気づけなかった人。親の入院の話さえ伝えられていなかった人。
わたしは幸せものだった。
最後の数か月間はちゃんと病院で面会できたし、触れることもできた。
突然でもなければ、急に、でもなかったから、ゆっくり気持ちの整理をさせてもらえた。もちろん受け止めることはすぐにできなかったけど、本人のいいようにしてもらえたと思っている。
穏やかな最後で、苦しまずにこの世をあとにした。
最後の最後まで頑張っている姿を見せてくれた。
本当に本当にありがとう。